新技術見学会@浜松市・馬込川

静岡県浜松土木事務所と建設会社が共催し、現場見学会が行われました。

ICT泥上掘削機という、新しい技術についてご紹介します。

<以下、浜松土木事務所から提供を受けた資料をもとに作成しました>


浜松市の沿岸域では、津波対策として、防潮堤や水門の整備を進めています。

防潮堤は令和2年3月に完成しており、現在は、浜松市の沿岸域の中で唯一、海に注ぐ馬込川の河口で水門整備を進めています。令和3年5月から、現場に本格的に着手し、最初、水門工事で川を狭くする前に、当面の流路となる部分を深くするため、掘っています。

 

  • 「ショベルカーが水に浮く!?」

砂の川底で、水中を重機が走行すると、重機の重さとキャタピラの動きで乱されてしまい、まともに走行できません。

馬込川の河口では、1.5mくらいの水深で川を掘る作業を行うため、キャタピラ部分を大きくして浮力を持たせた「泥上掘削機」(新技術)を使っています。

近年、全国的な洪水対策で、川に堆積した土砂の掘削を積極的に実施していますが、川の水深によって、作業機械が変わります。

従来は、陸上施工用の機械を使う場合と、台船という平らな船を使う場合が一般的でした。

しかし、船では水深が浅すぎていけない場所があります。その場合は、陸上施工用の機械を使用するため、川の中を一旦埋め立てて工事を行います。

今回の場合は、上流での影響や、水門本体工事への影響を考え、川の中を埋め立てが不要となる泥上掘削機を使用しています。

5月末から作業に着手して、約2ヶ月で1万㎥の砂を掘削して、幅40m、長さ200mの流路を掘っていきます。

 

  • 「最新技術の泥上掘削機☆作業効率大幅アップ!」

今回使用した泥上掘削機には、最新技術が搭載されています。

重機のバケットがどこをどのように通過したのか、その位置をリアルタイムで把握できます。

重機のコックピットにはPCが搭載され、画面で履歴を確認しながら作業します。

水中の掘削では、目で見て確認することが不可能なため、今までは長い竹竿などを使って深さを確認しながら作業をしてきましたが、ICT技術によって作業内容が革新しています。

これによって作業効率も大幅に向上しています。

 

  • 「最新技術を現場で見学!水深が深いところへの移動や作業がド迫力!」

6月15日に開催した現場見学会には、県西部の県土木事務所、市町の土木技術職員40名が集まり、迫力ある作業を見学しました。

実際にほかの川での活用を検討している人が多く来場し、使い方や発注方法など、詳しく確認していただきました。

洪水対策で川に堆積した土砂を除去する工事が増えていますが、今回の見学会は、新技術を駆使して、今までできなかった場所も手がけて、洪水対策をさらに進めるきっかけになったかと思います。